【第0回】20代後半の会社員が知っておきたい長期・積立・分散投資による資産形成 ~この記事だけでまるわかり~
皆さん、「老後2000万円問題」という言葉を聞いたことがありますか?融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書では、「老後30年間で約2,000万円が不足する」と受け取れる試算が示されています。このような問題に対して、若いうちから資産形成をして対策していくことが重要だと言えます。
しかしながら、「資産形成」と言われても、具体的に何をすればいいいのかわからない人も多いかと思います。一般的には長期・積立・分散投資をしていくことが資産形成の基本スタイルになっているのが昨今です。
今回は、20代後半~30代前半のための老後2000万円問題の対策に向けた長期・積立・分散投資による資産形成の方法を紹介していきます!
1. 老後2000万円問題
まず、市場ワーキンググループの報告書を見てみましょう。以下の記載内容が老後2000万円不足すると説明しているモデルケースです。老後に2000万円ではなくとも1300万円不足するとなると非常に苦しいですよね・・・。
夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf
このようなことになった背景には3つの要因があると言われています。
- 平均寿命が伸びつつある
- 退職金が減少傾向にある
- 働き方の多様化
詳細は上記のリンクを見ていただければすごくわかりやすいと思います。
このように、老後に1300~2000万円不足することに対する対策として、長期・積立・分散投資による資産形成や税制優遇制度を活用した投資を行っていく必要があります。
これらの内容はこちらの動画でも解説していますので、ぜひご覧ください!
2. 長期・積立・分散投資による資産形成方法
2.1 資産形成の種類
資産形成には、貯蓄と投資の2種類があります。
銀行への預金で貯蓄をしている方が多いかと思いますが、銀行の金利は0.001%で資産は増えにくく資産が劇的に増えることはほとんどないと言えます。一方、投資信託の平均利回りは概ね3%~10%程度と言われています。
2.2 20代後半~30代前半における投資の有利な点
- リスクを取れる
- 複利効果を活かせる
リスクを取れる
例えば50歳から投資をして65歳の定年退職直前になった際に株価の急落が起こった際には、含み損を抱えたまま老後生活を過ごす可能性が高いです。一方で20代後半~30代前半に投資を開始して同様のことが起こっても長期でコツコツためたことにより利益を出しやすくなります。こういった点で若いうちから投資を行うことが有利だと言えます。
複利効果を活かせる
年3%の利回りとして、以下のように40年、30年、20年と積立投資したとしましょう。月約33,333円(年40万円)の投資を40年行った際の資産は最終的に、30,160,504円になります。それと同様の金額を得るのに、運用期間20年、30年の場合どのくらい積立れば良いでしょうか?
項目 | 積立期間20年 | 積立期間30年 | 積立期間40年 |
---|---|---|---|
月投資額[円] | 93,583 | 52,833 | 33,333 |
年投資額[円] | 1,123,000 | 634,000 | 400,000 |
積立元本の総額[円] | 22,460,000 | 19,020,000 | 16,000,000 |
最終的な資産額[円] | 30,175,431 | 30,162,814 | 30,160,504 |
答えは、運用期間20年では月93,583円投資、運用期間30年では月1,123,00円投資する必要があります。運用期間が半分になっても、月の投資額は半分にはなりません。
さらに、運用期間40年では積立元本の総額が1600万円ですが、運用期間20年では積立元本の総額が2246万円となっています。
これらの結果からわかるように長期投資をすればすれるほど複利効果を得られ、短くなればそれだけ複利効果を得られにくくなります。よって長期投資がしやすい若いうちから投資することが資産形成には有利なのです。
さらに、複利効果をより受けるには分配金を受け取るのではなく、得られた分配金を再投資すると、次なる利益を生み出すための元手が大きくなって複利効果が得られます。
2.3 活用したほうがいい投資方法
積立投資をする際は、税金の優遇がある手法を活用することが良いです!その主な手法は以下です。
3. つみたてNISA
こちらの動画でつみたてNISAを詳しく解説しています。
3.1 つみたてNISAの概要
つみたてNISAは特に少額から長期、積立、分散投資を支援するための非課税制度です。日本在住の20歳以上の方が対象でNISA口座は1人1口座しか作成できません。つみたてNISAと一般NISAはどちらか一方しか選択できません。つみたてNISAと一般NISAの違いは以下を参照。
3.2 つみたてNISAの利用状況
どのくらいの人がこのつみたてニーサを活用しているか確認してみましょう。金融庁の「ニーサ・ジュニアニーサ口座の利用状況に関する調査結果の公表について」では、世代別のつみたてニーサの口座数が公開されています。こちらのデータから2018年、2019年、2020年、2021年の世代別のつみたてニーサの口座数をグラフ化すると下図になります。この図の内、特に20から40歳代までの部分に注目してください。20歳代は青、30歳代はオレンジ、40歳代はグレーです。この図を見てわかるとおり、近年、つみたてNISAの口座開設数が若い世代で急増していることがわかります。こういったデータから若者の多くがつみたてNISAを活用して投資を始めていることがわかります。
3.3 メリット
つみたてNISAのメリットは以下です。
3.4 積み立てシミュレーション
では、ここで楽天証券の積立かんたんシミュレーションを用いてシミュレーションをしてみましょう。年40万円の非課税枠を使うには、月33,333円積み立てれば良いかと思いますので、月3.3万円の積み立てを想定します。例えば月3.3円を積み立てて利回り5%で20年間運用した場合には、20年後には最終的な資産額が約1356万円となり、その内運用益は約564万円になります。
しかしながら、先ほどのシミュレーションでは、20年間のシミュレーションになってしまっています。もともと、つみたてニーサでは、投資した年から20年までが非課税対象期間となっています。2018年に投資した分は、2037年まで非課税期間ですが、2020年に投資した分は2039年まで非課税期間となっています。この20年間のシミュレーションの場合、2018年から20年間しか計算していないので、2020年に投資した分は18年間分の運用しか反映されていません。それでは具体的にその計算の数値を見ていきましょう。
楽天証券でシミュレーションしたのは、年間40万円の積み立てで年利回り5%で運用した結果で、細かく見るとこちらの表の計算になります。20年目の最終資産額は約1300万円になっています。1年目に投資した40万円に関しては、20年後に101万円となっています。この表だけでは、1年目に投資した分だけ20年間の非課税期間が終了したところまでになってしまっています。ここで、オレンジの枠で囲った部分に注目してください。2年目以降に投資した分は非課税期間が終了していません。つまり、2年目以降の非課税期間での運用結果を考慮してシミュレーションをした方がより現実的な数値が算出されます。
2年目以降の非課税期間での運用結果を考慮してシミュレーションをした結果がこちらになります。この計算では、非課税期間が終了した分は売却し、101.1万円から変わらないとします。この条件のもと20年目の投資分の非課税期間が終了する分まで計算しました。
つみたてシミュレーションの結果として、つみたてNISAを開始してから40年後に総資産総額は2022万円、利益は1222万円となります。この総資産額が2000万円を超えていることから、老後2000万円問題には対策できそうですよね。
3.5 非課税期間終了後の対応
非課税期間の20年間が終了した時には、NISA口座以外の課税口座(特定口座や一般口座)に払い出されるか、それ以前に売却する必要があります。
もし、非課税期間終了後も保有し続けると課税口座に移管されて利益は課税されます。
3.6 つみたてNISAの運用商品
つみたてNISAの運用商品は、手数料が低水準・頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託とETFに限定されています。
運用商品の選定ポイントは以下の4つです。
全世界 or 全米に分散投資する銘柄
全世界株式であれば、1つの国だけにとらわれず、全世界の複数の国に分散して投資をすることで、値下がりリスクを分散し、安定した運用を行うことができるようになります。全世界株式の例としてe MAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)を例に示します。この図は全世界株式の地域別構成比率を表しており、見てわかるように、アメリカ、日本、イギリス、中国といった複数の国に分散投資しています。
もう一つは米国株式です。こちらは人気のe MAXIS Slim 米国株式S&P500を例に示します。イーマクシススリム、米国株式、S&P500は、成長を続ける米国の主要企業にまとめて投資することができます。この商品に組み入れられた上位5つの銘柄を表に示してあります。上からマイクロソフト、アップル、アマゾン、googleであるアルファベット、テスラなど、聞いたことがある企業が組み入れられています。米国は世界最大の経済大国であると同時に、引き続き成長を続けていくことが期待されているので、長期で成長が見込まれる企業にリスクを分散し、安定した運用を行うことができます。
組入れ上位銘柄名 |
比率 |
|
1 |
MICROSOFT CORP |
6.0 |
2 |
APPLE INC |
5.9 |
3 |
AMAZON.COM INC |
3.7 |
4 |
ALPHABET INC-CL A |
2.2 |
5 |
TESLA INC |
2.2 |
インデックスファンド
インデックス運用とは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった、投資のベンチマーク(基準)となる「指数(インデックス)」と連動して動く運用のことです。インデックスファンドの他にアクティブ運用があります。アクティブ運用とは、その指数より値上がりするよう積極的に運用することを指します。
信託報酬が低い銘柄
信託報酬とは、投資 信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間はずっと投資家が支払い続ける費用のことです。
純資産総額が大きい銘柄
純資産総額が大きいほど投資家の支持を得て購入が増えていますので、継続した運用が見込めます。
松井証券、楽天証券の2社の取り扱い商品を以下に記載しますので、ぜひ一度目を通してみてください。これらを見ていただくとわかるように、運用商品には「株式100%」と「株式、債券、REITの複合資産(バランス)型」の2つのパターンがあると思います。株式100%はハイリスクでハイリターンで運用される商品で、バランス型はローリスクで安定運用で運用される商品と言えます。
次に、楽天証券におけるNISAの銘柄ランキング(閲覧日:2022/5/7)の上位10銘柄を示します。下記のランキングを見ても上記のポイントを踏まえると、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が人気なのがよくわかりますよね。
順位 | 銘柄名 | 信託報酬 | 純資産額 | 委託会社 |
---|---|---|---|---|
1 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.0968% | 11688.53 | 三菱UFJ国際 |
2 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | 0.162% | 5528.46 | 楽天 |
3 | eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) | 0.1144% | 5032.32 | 三菱UFJ国際 |
4 | iFreeレバレッジ NASDAQ100 | 0.99% | 1426.76 | 大和 |
5 | eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.1023% | 3232.59 | 三菱UFJ国際 |
6 | 楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 0.202% | 1724.4 | 楽天 |
7 | 楽天レバレッジNASDAQ-100 | 0.77% | 218.36 | 楽天 |
8 | eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 0.1144% | 1358.75 | 三菱UFJ国際 |
9 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド | 0.1023% | 3889.55 | ニッセイ |
10 | アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型 | 1.727% | 17426.88 | アライアンス |
3.7 松井証券でNISA口座開設
それではつみたてNISAの概要がわかったと思いますので、実際にNISA口座を開設しましょう。私のオススメは、松井証券です!!
松井証券は投資初心者に優しい証券会社です。例えば、株式取引の手数料が0円、投資信託の購入時手数料が0円です。
以下のリンクをクリックして、口座登録をしていきましょう!!
3.8 まとめ
つみたてNISAは特に少額から長期、積立、分散投資を支援するための非課税制度です。運用で得られた分配金を再投資すると、次なる利益を生み出すための元手が大きくなって複利効果が得られます。つみたてNISAでおすすめの商品は、全米に分散投資して信託報酬が低く、純資産額が高いインデックスファンドであるeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を選択するのが良いと言えます。
4. iDeCo
4.1 概要
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度で、自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する制度です。掛金は65歳になるまで拠出可能であり、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。加入は任意となっています。
4.2 メリット
メリットは以下3つです。
- 掛金が全額所得控除の対象
- 運用益も非課税で再投資できる
- 受取時の給付金が所得控除の対象
掛金が全額所得控除
掛金全額が所得控除の対象となり、税金を軽減することができます。
運用益も非課税で再投資できる
一般的に金融商品を運用すると、運用益に課税されますが(源泉分離課税20.315%)、iDeCoなら運用益が非課税で再投資されます。
受取時の給付金が控除対象
iDeCoは年金受取か一時金での一括受取で、受取方法を選択することができます。年金受取の場合は「公的年金等控除」、一時金として一括受取の場合は「退職所得控除」の対象となります。
4.3 加入区分と掛金
詳細はiDeCoの公式サイトに記載されています。加入区分は大きく分類すると以下の表の3つに分けられ、加入区分に応じて拠出できる掛金の上限が異なります。
掛金は少額から自分で決められます。月々5,000円から始められ、掛金額を1,000円単位で自由に設定することができます。
4.4 受取方法
iDeCoは公式サイトにもあるように、60歳から受け取ることができます。
iDeCoの年金資産は、老齢給付金として原則、60歳から受け取ることができます。受給を開始する時期は、75歳になるまでの間で選ぶことができます。
受取方法も以下の3パターンがあります。
①一時金として一括で受け取る
○ 受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達したら、75歳になるまでの間に、一時金として一括で受け取れます。
②年金として受け取る
○ iDeCoを年金で受け取る場合は有期年金(5年以上20年以下)として取り扱います。
○ 受給を開始する時期は、75歳になるまでの間で選ぶことができます。
○ 受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達したら、5年以上20年以下の期間で、運営管理機関が定める方法で支給されます。
※金融機関によっては、終身年金として受け取れる場合もあります。
③一時金と年金を組み合わせて受け取る
○ 受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達した時点で一部の年金資産を一時金で受け取り、残りの年金資産を年金で受け取る方法を取り扱っている運営管理機関もあります。
4.5 運用商品
主な金融商品には大きな分類があり、各種類のリスクとリターンの関係性を以下に示します。こういったリスクとリターンを踏まえて運用商品を選択していく必要があります。
分類 | 内容 |
---|---|
株式 | 一般企業が投資家から資金を調達するために発行するものです。国内株式型は国内株式に投資する商品で、価格変動リスクが高くなりますが、高いリターンも期待できます。海外株式型は海外のさまざまな株式に投資する商品で、価格変動リスクに加え、為替変動リスクがあります。 |
債券 | 国や一般企業などが資金を調達するために発行するものです。国内債券型は日本国内のさまざまな債券に投資する商品で、金利リスクなどがありますが、比較的安定したリターンが期待できます。海外債券型は海外のさまざまな債券に投資する商品で、金利リスクに加え、為替変動リスクがあります。 |
REIT | 投資家から集めた資金でオフィスやマンションなどの不動産を購入し、運用する投資信託です。 |
さて、具体的にどんな運用商品があるのかな?、と思うと思います。iDeCoは1人1口座しか作れないのでその証券会社を選ぶかが大事になってきます。その際には欲しい金融商品が揃っているか、管理費用が安い証券会社か、信託報酬が低い銘柄が揃っているかが大事になってくると思います。
こちらの記事では、おすすめ銘柄と金融機関のランキングが記載されていますので、とても参考になると思います。
また、参考までに楽天証券とSBI証券での運用商品一覧を以下に添付しますので、一度ご覧ください。
4.6 まとめ
iDeCoは確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度で、自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する制度です。しかし、原則として拠出した資金は60歳以降でなくては引き出せません。そのため、子育て資金、教育資金、住宅ローンなどの将来的に必要な資金を踏まえてiDeCoをスタートする必要があります。長期になればなるほど複利効果も得られるので、将来的に必要な資金に余裕がある人は少額からスタートしても良いかと思います。
5. 企業型DC
5.1 概要
投資信託協会のサイトできれいにまとめられていましたので、こちらを引用させていただきます。
企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度です。
企業型DCは、従業員が自動的に加入する場合と、企業型DCに加入するかどうかを選択できる場合があります。
従業員は掛金をもとに、金融商品の選択や資産配分の決定など、さまざまな運用を行います。そして定年退職を迎える60歳以降に、積み立ててきた年金資産を一時金(退職金)、もしくは年金の形式で受け取ります。ただし、積み立てた年金資産は原則60歳まで引き出すことはできません。
5.2 企業型DCとiDeCoの違い
上記をみると企業型DCとiDeCoは同じようなものだと感じますよね!どこが違うのでしょうか?企業型DCとiDeCoの違いを以下の表にまとめました。
5.3 マッチング拠出制度
投資信託協会のサイトできれいにまとめられていましたので、こちらを引用させていただきます。
「企業が拠出する掛金だけじゃ物足りない……。もっと掛金を増やして企業型DCで運用がしたい」という従業員の方もいるかもしれません。そんな方は「マッチング拠出」という制度を利用するとよいでしょう。
マッチング拠出というのは、企業型DCにおいて、企業が拠出する掛金に、従業員自身が掛金を上乗せするというものです。
【POINT】
- マッチング拠出の制度で、企業の掛金に従業員が掛金を上乗せすることができる
- マッチング拠出を採用していない企業もあるので、担当部署に確認してみよう
ただ、マッチング拠出の掛金については上限があり、以下の条件があります。
- 従業員が拠出する掛金の金額が、企業が拠出する掛金の金額を超えないこと
- 企業が拠出する掛金と、従業員が拠出する掛金の合計額が、掛金の拠出限度額を超えないこと
ただし、企業型DCは導入しているものの、マッチング拠出の制度を採用していない企業もあります。自分の企業ではマッチング拠出を利用できるのかどうか、一度企業の担当部署(総務・人事など)に確認してみましょう。
5.4 まとめ
企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度で、従業員が自動的に加入する場合と、企業型DCに加入するかどうかを選択できる場合があります。メリットとしては、マッチング拠出分の掛金は全額所得控除対象、運用益非課税、給付の資産が公的年金等控除 or 退職所得控除の対象となることです。積み立てた年金資産は原則60歳まで引き出すことはできませんので、iDeCo同様、子育て資金、教育資金、住宅ローンなどの将来的に必要な資金を踏まえて企業型DCをスタートする必要があります。
6. その他
6.1 はじめに
つみたてNISA、iDeCo、企業型DC以外にも知っておくと良い投資商品や用語がありますので、そちらも紹介していきます。また、上記で詳細を説明できなかった用語についても説明していきます。
6.2 投資信託
6.2.1 概要
多数の投資家から資金を集めて1つの基金とし、この基金を運用の専門家が株式や不動産などに分散投資して、そこで得た利益を投資家に配分する仕組みの金融商品です。
6.2.2 メリット・デメリット
メリット
デメリット
- 元本は保証されていない
- 手数料がかかる
6.2.3 投資信託の仕組み
6.2.4 投資信託のコスト
投資信託でかかるコストは以下です。
コスト | 内容 |
---|---|
購入時手数料 | 購入時に販売会社に支払う手数料 |
運用管理費用 | 販売、運用、管理会社の業務に対する手間賃 |
信託財産留保額 | 中途換金時に徴収される手数料 |
6.2.5 投資対象による分類
6.2.6 上場投資信託
種類 | 内容 |
---|---|
ETF | Exchange Traded Fundsの略。指数に連動するように運用される投資信託 |
上場不動産投資信託 | 投資家から集めた資金を不動産に投資して、そこから得られた利益を投資家に分配する投資信託。日本版不動産投資信託:J-REIT |
6.3 ETF
6.3.1 概要
ETFはExchange Traded Fundsの略で上場投資信託と呼ばれる金融商品です。ETFは指数に連動する運用成果を目指し、金融商品取引所に上場している投資信託です。
6.3.2 メリット・デメリット
メリットは一般的に以下4つです。
デメリットは一般的に以下の3つです。
- 投資信託としての基準価格と市場価格に乖離が発生する可能性がある
- 自動積立投資ができないことが多い
- 分配金が自動的に再投資されない
6.3.3 ETFと投資信託の違い
6.3.4 ETFの種類
6.3.5 S&P500に連動するETF
代表的なS&P500に連動するETFは以下です。
6.3.6 米国高配当利回りETF
分類 | 内容 | 分配金利回り |
---|---|---|
VYM | 高配当銘柄約400社で構成されている米国高配当ETF | 2.85 |
HDV | 財務健全性が高い銘柄で構成されている米国高配当ETF | 3.22 |
SPYD | S&P500の高配当銘柄80種を組み入れている米国高配当ETF | 3.62 |
6.3.7NASDAQ100連動ETF
代表的なNASDAQ100連動ETFは以下です。
6.4 公募株式投資信託
広く一般に募集する投資信託のうち、ポートフォリオに株式を組み入れられるもの。
債券を組み入れられるものは「公募公社債投資信託」と呼びます。公募株式投資信託は、2014年1月からスタートした少額投資非課税制度「NISA」の対象になっています。
6.5 REIT(不動産投資信託)
野村不動産のページの文章を引用させていただきます。
不動産投資信託(REIT:Real Estate Investment Trust)とは、不動産を中心に運用する金融商品で、その多くは金融商品取引所に上場しており通常の株式と同じように金融商品取引所において、いつでも売買が可能です。
投資家から集めた資金で不動産投資の専門家がオフィスやマンション等の不動産を購入し、購入した不動産を賃貸し、その賃料収入や売却益から費用を差し引いた残りの収益を投資家に分配します。
REITの特徴
- 少額からの投資が可能
- 高い換金性
- 分配金が受け取れる
- 不動産のプロが運用・管理
6.6 ドルコスト平均法
6.6.1 概要
価格が変動する商品に対して「常に一定金額を、定期的」に購入する方法です。この購入方法では、期間が長くなればなるほど価格変動による影響を受けにくくなります。
購入金額を一定に保つことで、価格が低いとき、購入量(口数)が増加し、価格が高いとき、購入量(口数)は減少します。この購入方法は全体の平均購入単価を平準化させる効果があり、長期的な資産形成を行っていく上で有効な方法のひとつとなっています。
6.6.2 メリット
一般的なメリットは以下の3つです。
-
平均購入単価を下げられる
-
高値掴みのリスクを軽減
-
定額・定期購入で手間がかからない
6.7 債券
岡三証券の際との文章を引用させていただきます。
債券は、国や企業などの発行体が、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券です。債券には満期が定められており、満期となる償還日には、額面金額が投資家に払い戻されます。投資家は、発行体に対してお金を貸す代わりに利子をもらう、というイメージです。
投資家は、債券の購入を通じて、発行体に資金を提供します。発行体はその見返りとして、満期までの期間、決められた利子の支払いを行います。満期時には、発行体が破綻しない限り債券の額面金額が払い戻される仕組みです。投資家は最終的に当初投資した債券の額面金額と利子の両方を得ることができます。
また、債券は有価証券ですので、流動性があれば、満期を待たずとも売却し途中換金することも可能です。債券の価格は、発行体の信用度や格付け、満期までの残存期間などの要素により変動します。
7. 投資歴3年目の私の状況(2022年4月29日現在)
投資歴3年目の私の運用結果を公開します!
私は、つみたてNISAを2022年1月から、米国高配当ETFを2021年11月から、投資信託を2021年6月から、国内個別株投資を2020年7月から始めました。投資に使っている証券会社は楽天証券です。
つみたてNISAではS&P500を運用しており、投資信託ではS&P500と全世界株式(日本を除く)、米国高配当ETFではHDVとSPYDを運用しています。運用結果は以下です!
まずはつみたてNISAの結果です。
続いて、投資信託の結果です。
最後は米国高配当ETFです。
おわりに
本記事では、老後2000万円問題に対応すべく、長期・積立・分散投資による資産形成である「つみたてNISA」、「iDeCO」、「企業型DC」や投資信託・ETFを紹介しました。私自身記事を下記ながら、長期になればなるほど複利の効果が多く得られることから、早期に少額から長期・積立・分散投資することが大事であると感じました。もちろん将来的な子育て資金や住宅ローンなどを踏まえていく必要があることにも注意が必要です。本記事を参考に皆さんなりの老後2000万円問題に対応が進めば幸いです。
長い文章を読んでいただきありがとうございました。
引用資料・参考資料
老後2000万円問題
つみたてNISA
iDeCo
- iDeCoの特徴|iDeCoってなに?|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
- イデコ(iDeCo)最大のメリットは3つの税制優遇! その仕組みと効果を解説
- iDeCoのメリット(税制上のメリット) | 東海東京のiDeCo
- 資産運用商品の種類 | iDeCoとは | 個人型確定拠出年金 | 野村の確定拠出年金ねっと
- 投資信託の選び方について | ためる・ふやす | 西日本シティ銀行